スペック

世界最高レベルの高輝度光を低コストで

パラメーター

*現在検討中の案であり、今後の検討や予算状況によって大きく変わる可能性があります。

  • 最新型ラティス “Hybrid Multi-Bend Achromat(HMBA)”を応用し、各セルに長直線部と短直線部を持つ独自設計。電子エネルギー 3 GeV、周長約570mで、世界最高レベル(0.13nmrad)の低エミッタンス光源を実現。IBS(Intra Beam Scattering)により、設計最大電流500mAで0.31nmradとなりますが、将来的には、高調波加速空洞によりバンチ長を伸ばすことでIBSを抑制します。
  • 最大58本(うち挿入光源38本)のビームラインが設置可能な設計により、高性能の光を広い分野のサイエンスで共有できます。
  • 電磁石の小型化・省電力化により加速器全体の消費電力の低減を実現します。現在のKEKの放射光施設(PFとPF-AR合計)の消費電力約11MWに対して、KEK放射光は約6MW。運転時間を増やしても、電気料金が大幅に削減できます。
HMBAの模式図
エミッタンス

世界の主な放射光施設(計画中、建設中、立ち上げ中のものも含む)の加速器のエネルギーおよび周長と、エミッタンス(水平方向)(現在のKEKの放射光施設のエミッタンスは、PF : 34.6nmrad, PF-AR : 293nmrad)。
水色の点線はラティスの型を表し、右下に行くほど先端的なラティスであることを示している(DBA : Double-Bend Achromat, MBA : Multi-Bend Achromat)。

最先端のアンジュレーター技術で多彩な高輝度光を実現

  • KEKが有する挿入光源技術により、多彩なアンジュレーターが、それぞれの実験に応じたエネルギー領域の高輝度光を発生します。
  • 真空紫外線から数keV程度のX線領域まで、世界最高輝度が実現できます。
  • ユーザーが最も多い10keV程度のX線領域では、低コストのショートアンジュレーターの利用が可能です。SPring-8の標準アンジュレーター(4.5 m)とほぼ同等の輝度の光が得られます。
  • コヒーレント光の割合は、1 keVで約10%、10 keVで約 1% 。この高いコヒーレント比により、高い空間分解能(10nm未満)が実現できます。
コヒーレント

KEK放射光の輝度(Intra Beam Scatteringを考慮して計算)。

【参考】試料位置での放射光ビームの性能

KEK放射光の光のスペックを実感していただくために、1keVと10keVにおいて、レイトレース計算で得られた試料位置でのビーム性能の例を示し、PFの高性能ビームラインと比較した表を示します。なお、これらの値(PFの値も含む)は、計算で得られた理想的な値であり、実際にビームラインで得られる光のスペックとは必ずしも一致しません。
(計算には、上に示した輝度のグラフの「KEK放射光 SX Undulator」「KEK放射光 X-ray Undulator2」のパラメーターを用いました。)

KEK放射光 SX Undulator による1keVの光のスペック

1keVのスペック

KEK放射光 X-ray Undulator2 による10keVの光のスペック

10keVのスペック

KEK放射光の詳しいスペックは、以下の資料をご覧下さい。