1983年にPFの共同利用実験が開始して以来、33年間の総出版論文数は約16,000報、2,500名を超える修士・博士が輩出され、PFに育てられた人材は学術分野のみならず、広く産業界でも活躍しています。放射光施設は、今や、物質・材料・生命などの先端的研究の推進、それらを基礎とする産業イノベーション、そして、環境・災害・老齢化などの様々な課題解決のためになくてはならない基盤インフラとなっています。世界に目を向けますと、2000年以降の蓄積リング型光源技術の目覚しい進展により、高性能の放射光施設の建設や計画が20以上の国と地域で進行しています。PFは、現在でも毎年3,000名を超えるユーザーが利用する放射光の拠点施設ですが、老朽化や性能面での競争力の低下により、危機的状況に瀕していると言っても過言ではありません。
全国の放射光ユーザーで組織されているPFユーザーアソシエーション(PF-UA)では、国内外の放射光科学を俯瞰した現状分析に基づいて、PFの役割と将来構想に関して、2015年2月に「PF-UA白書:PFおよび日本の放射光科学の将来への提言」を公表いたしました。また、KEKの放射光将来計画に関して徹底的な検討と協議・要請を重ねた結果、国際評価委員会(PF-SAC,2016.3)、KEKプロジェクト実行計画(KEK-PIP)の国際評価委員会(2016.5)を経て、蓄積リング型高輝度光源(KEK放射光)計画が、KEKの最優先大型プロジェクトに決定しました。
PF-UAは、学術研究と人材育成を主要なミッションとするKEK放射光計画に全面的に協力することをいち早く決定し、PFの関係者だけでなく、広く日本の放射光科学の関係者に協力を要請して、3つの委員会(KEK放射光運営形態検討委員会、KEK放射光ビーム利用検討委員会、KEK放射光ビームライン検討委員会)を立ち上げております。
KEK放射光は、光源性能や規模はもとより、運用形態においても世界最高の放射光施設になるものと期待されます。その実現に向けて、皆様方のご理解ご協力を賜りたく、ユーザー一同を代表いたしまして心よりお願い申し上げます。
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